2004年6月18日(金)23:51

統一ヨーロッパはEU憲法を採択

ブリュッセル(AP)

統一ヨーロッパははじめて共同の憲法を持つことになった。EU各国首相は二日間の難航する協議を経て、金曜日の夜遅く打開に漕ぎつけ、新たな憲法条約に合意した。ドイツのゲルハルト・シュレーダー首相は「歴史的決定」と評し、「ヨーロッパはこの憲法でさらに強く結ばれた」と付け加えた。次期欧州委員長の選出は後日に延期された。

EU議長を務めるアイルランドのバーティー・アハーン首相は、「憲法条約は欧州連合発展の重要な一里塚である」。憲法は「街頭の普通の人々が理解できる」文書であり、「これが人々の憲法なのだ」。EUはこれにより「透明性と民主性を増す」ことになる、と語った。

今後25ヶ国の批准を必要とする欧州憲法は、将来の決定方式として二重多数決制を定めている。これは加盟国の人口規模に一層の比重を置く。欧州委員会の規模は2014年以降縮小される。また、EU外相職が新たに設けられる。しかし外交政策の多数決決定はきわめて限定された形でしか認められない。

神やキリスト教への直接の言及は憲法前文に盛り込まれず、単に「ヨーロッパの文化的、宗教的、人文主義的遺産」と記されるに留まった。シュレーダー首相は、「この文言については、我が国の同意も得てもっと踏み込むこともできたが、それは不可能だった」と述べた。とりわけポーランドは最後まで明確にキリスト教に言及するよう求めたが、国家と宗教の厳格な分離を主張するフランスなどの抵抗に遭い、拒絶された。

閣僚理事会の多数決決定は、加盟国の55パーセントの賛成、かつ賛成国の人口の合計がEU人口の65パーセントに達した場合、はじめて成立すると定められた。しかし併せて、加盟国の多数には最低15ヶ国が必要とされている。*) また決定の阻止には4ヶ国が必要とされた。シュレーダー首相はこれを弁護し、この規定は複雑で錯綜しているが、「私たちはこれを新たな問題と捉えるのをやめようではないか」と訴えた。

ドイツのヨシュカ・フィッシャー外相は、二重多数決制はEU市民とEU加盟国の双方の多数を反映するものであると強調し、「このために私たちは長い間闘ってきたのだ」と述べた。昨年12月の首脳会議ではこの問題でポーランドとスペインの抵抗に遭い、合意に至らなかった。フィッシャー外相は、憲法の合意は「ヨーロッパにとって大きな一日」を意味すると強調した。

外交政策における多数決決定は、EU外相が首脳会議の取り決めに従って具体的提案を行う場合にのみ認められることになった。シュレーダー首相は、「この問題ではさらに多くを期待できたが、EUの合意は一つのプロセスである」と強調した。

憲法によれば、憲法発効後に発足する最初の欧州委員会は各国1名の委員から構成される。5年の任期が終わった後、欧州委員の数は加盟国の数の三分の二に減らされる。これは2014年から適用されることになる。

また、加盟国は景気後退の際に予算のコントロールを失わないように、好景気時に節約に努めるべきであるとの文言が安定協約に盛り込まれた。加盟国の財政赤字が続く場合に欧州委員会の指導権限を強めるという案は、ドイツなどの強い要請により見送られた。

原題:Geeintes Europa gibt sich Verfassung

訳注:25ヶ国の55パーセントは13,75(=14ヶ国以上)であるが、2007年にブルガリア、ルーマニア、クロアチアが加盟を果たし28ヶ国体制になった場合は15,40(=16ヶ国以上)となる。一見矛盾する二つの数字は、増加する加盟国数を見込んでいるためと思われる。




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